自由旅クリエイターにじねこMiiのブログ

旅や地域の魅力を発信するライターです。母になってからも好奇心は旺盛!いつもアンテナ張り巡らせて楽しいこと探してます。おもしろいモノ、おすすめのスポットをブログで発信中♪

自然の中に放り出された子どもたちが得るもの

こんにちは。

 

バックパッカー主婦のMiiです。

 

私は本が大好きなのですが、今読んでいるユーコン川を筏で下る』という本のなかで、とても興味深いエピソードが紹介されていました。

 

前にもブログで書いたのですが、著者の野田知佑(のだともすけ)さんは日本のカヌーイストの先駆者ともいえる人です。 

cmiyumiyu.hateblo.jp

 

世界中の川をカヌーで旅し、その旅で出会った人や出来事や感じたことをたくさんの

本に書いているのですが、私は野田さんの本は味わいがあって好きなのです。

 

野田さんは中でもカナダとアメリカのアラスカ州にまたがる、ユーコン川に何度も足を運んでいて思い入れも強いようです。そんな中、この本で次のようなエピソードを紹介していました。

 

数年前にユーコンに行った時に再会した、バンクーバーから来た男の話。その初老の男は、元建築士でリタイアした後、毎年ユーコンに来ているのだそうです。ある時彼は、野田さんと焚火を囲みながら、自分の息子がユーコン川のおかげで救われた話をしました。

 

 

息子は15才になったとき不登校になってしまい、自分の居場所をなくしてしまったのです。父であるその男はどうすればよいのか途方に暮れてしまいます。

 

そして、ひとつの決断をするのです。男は仕事を半年間休み、息子を連れてユーコン川の源流に向かいます。そして3か月かけてユーコン川を下ったのです。

 

もともとアウトドアが好きだったその男は、息子を自然の中に連れて行けば、必ずいい結果が生まれると信じていたのだそうです。息子ははじめは乗り気ではなく、いやいやながら父親と旅を始めたのですが、2週間もすると川の生活にも慣れてきました。毎日魚が食糧ですから魚釣りは欠かせません。上流では魚がよく釣れ、彼は魚釣りが好きになりました。

 

ただ、もちろん単調な生活。夜は焚火の前で本を読み、夜が更けるとだまってテントで寝るだけの毎日。しかし、1か月も経つと息子の表情が変わってきます。3か月後にベーリング海に出るころには、30冊もの名作を読み終え、元気になって父親にも胸の内をいろいろと話すようになったのだそうです。

 

それに似たようなことは、実際に野田さんも経験しているようで”自然の持つ治癒力というものは実際に体験しないとわからない。あっという間に子供が変わるのだ”と書いていました。

 

 

これを読んでいて思い出した話があります。やはり私の好きな星野道夫さんという人の本です。

 

星野さんはアラスカに住みながら様々な動物の写真を撮ったり、エッセイを書いたりする人でした。悲しいことに若くして事故で亡くなってしまったのですが、星野さんの文章は私の胸にとても響く内容で、一時期何冊も読んでいました。

 

 

その中の旅をする木という本の中で 「ルース氷河」という話があります。

 

星野さんが学生時代の仲間とともに、小学生から高校生までの11人の子どもを連れて小さなセスナ機に乗り、アラスカ山脈のルース氷河という場所に1週間滞在する話です。

 

ここには無人の小さな岩小屋があるのですが、子どもたちは現代社会からは一切隔絶され、すさまじい絶壁や氷壁に囲まれたこのルース氷河にポンと放り出されるのです。ここに来た子どもたちは、反抗期真っただ中の女子高生やガキ大将の小学生、進学校に通う中学生と育った環境も性格も様々な子たちです。

 

でもこの厳しい環境ではそんなものは一切関係なく、まず雪を溶かして水をつくるところから始めなければならない。そしてその貴重な水を上手に使ってゆかなければいけないのです。何もかもが守られている都会の生活から、子どもたちは少しずつ自然へと帰っていきます。

 

何もないこの世界では、食べて、寝て、出来る限り暖かく自分の命を保ってゆくことが一番大切なのだ。

 

 

そして、明日はセスナが迎えに来て山を下りなければいけないという日の夜、子どもたちはいくつもの流れ星が落ちていく中、大きなオーロラを見るのです。

 

子どもたちが帰国後、このルース氷河での1週間をどのように受け止め、その後どう変わったのかはわかりません。でも、星野さんはいいます。

 

子どもの頃に見た風景がずっと心の中に残ることがある。いつか大人になり様々な人生の岐路に立った時、人の言葉ではなくいつか見た風景に励まされたり、勇気を与えられたりすることがきっとあるような気がする。

 

 

野田さんのエピソードも星野さんの話も、根っこの部分はつながっているんじゃないかと私は思うのです。

 

ふだん私が子どもたちに経験させてあげられる自然は、せいぜい山登りやキャンプくらいのものです。それでもそんな中、子どもたちは下界では決して目にすることができないような朝焼けをみたり、パチパチと火の粉が舞うなか黙って焚火に薪をくべたりする。

 

そんな子どもたちを見るとき、はたしてこの記憶はこれから大人になる彼らにどんな影響を与えるんだろうかと私も思うことがあるのです。

 

まさに星野さんがいうように、この体験が今すぐにこの子たちになにかを残さなくてもいい。ただ、これから成長していくなかで、断片的にでもその美しい景色や、山の風の冷たさ、火をくべた時の薪のにおいなどを、ふと思い出す時が来てくれればいいと思っているのです。

 

 

最後までよんでいただきありがとうございます。

 

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