自由旅クリエイター/ライター にじねこMiiのブログ

なりゆきまかせの自由旅が好きなライター。元バックパッカーで今は2児の母。人生を今よりちょっとだけ楽しくしてくれるモノが好き。Web媒体で旅や地域の魅力を発信したり、取材記事を書いてます。お仕事も随時募集中♪

放浪娘を一人旅に送り出した親の気持ちを考えたことがあるか

20年前の一人旅の最中にはまったく想像もしなかった事実について両親から聞いたのは、帰国後ずいぶん経ってからのことでした。

3年間働いた会社をやめると決めたのは、私が25才のとき。次の仕事を見つけるまでは自分の時間ができるし、多少の貯金もある。当時3年近く付き合ってたカレとは、些細なことから歯車がずれ始め、お互い距離を置いている時期でした。

 

なんのしがらみもない自分。ふと、前から興味があった海外で、暮らすような旅をしてみたいと思いました。

 

行くと決めたら行動あるのみ。ニュージーランドに1年間ワーキングホリデーに行くことにした私は、両親に相談もせず、渡航に向けて準備を始めました。自分が貯めたお金で行くのだし、反対されるかもしれないなどという考えも、まったく思い浮かばなかった。

 

「ちょっとニュージーランドに行こうと思って。」

 

そう両親に電話で打ち明けた時点で、それはすでに報告でした。娘の突然の告白に、両親も戸惑いは見せたけれど、私はすでに具体的に計画を進めていたし、とくに反対はされなかったと思います。

 
出発の時も、地元の空港から両親は何もいわずに私を送り出してくれました。

 

ニュージーランドで1年。そして一旦帰国後すぐ、今度はヨーロッパ放浪旅を半年。足かけ1年半の海外旅から帰国してずいぶんたった頃、半分冗談交じりに母が私に打ち明けました。

 
じつはニュージーランドへと旅立ったあの日、空港で飛行機を見送ったあと、両親はそっと涙を流したのだそうです。

 
あの時は、「娘とはもしかしたらもう二度と会えないかもしれない」という覚悟だったそうです。「今だから笑って話せるけど‥。」と。

 

そんなこと想像もしませんでした。あの頃の私は、ただ前しか見ていなかったから。両親も笑って見送ってくれたとばかり思っていました。衝撃の事実。

 

実家があるのは東北の地方都市で、どちらかというと保守的な土地柄。そんな場所で暮らす両親にとって、一人で何のつてもなく、海外を旅しようという娘の計画を受け入れるのは、想像以上に勇気がいることだったかもしれません。

 
私を海外へ一人旅に出したことについて、母にいろいろとうるさくいう人もいたらしい。でも母は、「娘が決めたことだから。」と腹を決めていたそうです。

 
今のように、いつでもつながることができたわけではありません。私から連絡しないかぎり、私が海外のどこにいるのか、まったく知ることができなかったころの話。

 

その時、私はただ当然のように旅の自由を謳歌していたのだけれど、それは本当は当然のものではなかったのです。

 
今、自分は母になり、息子と娘がいる。そして、子どもたちには自分の目でいろんな世界を見てほしいという思いがずっとあります。

 

しかし反面、心のどこかで、もし娘が私と同じような選択をした時、あの頃の両親のように、毅然とした態度で彼女を送り出してやれるだろうか..とふと思ってしまう自分もいるのです。

 

 

読んでいただきありがとうございます。

 

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