自由旅クリエイター/ライター にじねこMiiのブログ

なりゆきまかせの自由旅が好きなライター。元バックパッカーで今は2児の母。人生を今よりちょっとだけ楽しくしてくれるモノが好き。Web媒体で旅や地域の魅力を発信したり、取材記事を書いてます。お仕事も随時募集中♪

【山形・秋田】鳥海山へ

8月初旬に山形に帰省した際、この数年間ずっと登ってみたいと思っていたふるさとの山に登ってきました。

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標高2,236mの山形・秋田の県境にそびえる鳥海山(ちょうかいさん)。子どもの頃から毎日仰ぎ見ていた、私にとっての母なる山です。今回数年越しにようやく登るチャンスが訪れ、千葉から家族4人分のリュックや登山靴などを車に積み込んでの帰省となりました。

 

はじめは1泊の予定でしたが、2日目の天気が崩れそうだったので、急きょ日帰りで行くことに。結局直前になって子どもたちは行かないことになり、実家でお留守番。家族での登山はこれまで何度もありますが、主人と二人だけで行くのは今回が初めて。私は本格的な登山は3年ぶりだったので、正直ちょっと不安でした。

 

秋田県側の「鉾立(ほこたて)口」に車を停め、5時半出発。途中、左手には深い谷が見下ろせます。これまで私が見たことのある鳥海山は、ほとんど表の顔だけ。一歩山の中に入ればこんな景色が広がっているなんて、正直驚きでした。

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石畳がずっと続く道。石段はあまり好きじゃないけど‥。でも思ってた以上に登山道は整備されている感じです。

 

ここは秋田と山形の県境なんですね。

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鳥海山は登山者に花の名山として人気があり、高山植物の固有種もあります。これはチョウカイアザミ。初めて見ました。黒っぽい紫色で、ちょっとおどろおどろしい雰囲気!

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振り返ると日本海が広がっています。きれいな海とどこまでも続く青空、そして清々しい山の空気が気持ちよすぎ♪

 

ただ途中から、右足の筋に違和感が・・。まだ先は長いのに!日ごろの運動不足を後悔しますが、もう遅いですね。はじめは大したことありませんでしたが、だんだんペースも落ちて、口数も少なくなる私(;'∀')。主人は途中、「戻ろうか?」と言ってくれましたが、「いや、行く!」

 

出発から2時間弱で、最初のポイントである御浜小屋に着きました。ホッとする私。

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御浜小屋は宿泊することもでき、そのすぐ下には鳥海湖という火口湖があります。

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途中、ガルボ休憩でエネルギーチャージ!ちなみに残ったガルボは、帰りにはチョコドロドロで原型をとどめてませんでした。ガルボはお早めに!

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苦労して歩き、ようやく分岐点となる七五三掛(しめかけ)まで来ました。まっすぐ行くと外輪山を経由するコース。左へ下りると雪渓を渡るコースです。私たちは雪渓コースへ進みました。でも階段を下り始めてすぐに後悔!

 

え、こんなに下りるの・・Σ(゚Д゚;

 

よっぽど引き返そうかと思いましたが、主人はどんどん先に下りていくので、もう行くしかない。千蛇谷(せんじゃだに)の底まで下り、雪渓を渡ります。

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幾筋もの飛行機雲が青い空に線を描き、まるで絵のようです。でもそんなことを思いながらも、足は限界。

 

主人は「今ならまだ引き返せるよ。」と声をかけてくれましたが、はっきりいってそれだけは避けたい。今下りてきたこの恐ろしく急な階段をまた上るくらいなら、目の前に続く道を行く方がまだましです。もうとにかく一歩一歩、前に進むしかない。

 

途中見かねて、主人が私のリュックを持ってくれました。便乗しておんぶも頼んでみましたが、それはあっさり断られました(笑)。

 

急な斜面を登って、ようやく頂上の下にある大物忌(おおものいみ)神社に到着。(最初の予定では、ここにある御室小屋に一泊しようと思っていました。)そして無言のおにぎりタイム。

 

山頂はどうやらこの岩場の上らしい。「もう限界だし、山頂は行かなくていいや。」と思っていたんですが、結局登ることに。

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でもですね~。なんとここで私、奇跡の復活を遂げたんです!岩場を登り始めたら、なぜか急に元気になっちゃって、気がついたら上にいました(笑)。

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そしてさらに矢印のとおりに進んで、ついに新山の山頂に到着~!

 

30分前の自分を考えたら、まさに奇跡としかいいようがありません!どうやら私、岩場好きらしい。

 

そしてそのまま外輪山へ。また痛みだした足を少しだけ休ませます。黙って座る私の目の前に広がるのは、いちめんのお花畑。そしてところどころに雪渓も見えます。その先にはいくつもの緑の森が重なりあい、さらに奥には庄内平野と酒田の街があるはず。 

 

聞こえるのはただ風が渡る音と鳥のさえずり、そして虫たちが飛び交う羽音だけ。ちょうちょがひらひらと舞い、色とりどりの花が咲き乱れる風景。下から見上げるだけだった鳥海山の上には、こんな天国のような景色が広がっていたんですね。

 

ここは自分の原点。生まれ育ったふるさと。ここにある全てのものに私は生かされてるんだ、と思いました。

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このあとはただひたすら稜線を歩いていきます。外輪山歩きは高低差があまりない分、足への負担もだいぶ少なくなり、気持ち的にも体力的にもかなり持ち直しました。

 

さっき立ち寄った山頂下の御室小屋が遠くに見えます。あの上まで登ったのが信じられないくらい。

 

このまま空まで歩いていけそうな気持ちになります。

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何度も心が折れたけど、やっぱりここまで来てよかった!

 

油断していたところにまた急な石段が現れましたが、やっと鳥海湖まで戻ってきました。ここまでくればなんとなく安心です。あとはただひたすら、石段の道を下っていきます。短いようでけっこう長い!

 

ようやく駐車場に着いたのは午後4時過ぎ。運動不足を痛感した11時間の山歩きでしたが、頂上直下の岩登りと、外輪山の稜線歩きがとても楽しい山でした。