自由旅クリエイター/ライター にじねこMiiのブログ

なりゆきまかせの自由旅が好きなライター。元バックパッカーで今は2児の母。人生を今よりちょっとだけ楽しくしてくれるモノが好き。Web媒体で旅や地域の魅力を発信したり、取材記事を書いてます。お仕事も随時募集中♪

「電子書籍のブックライター」やってます

この半年間で「電子書籍のブックライター」の案件を多くいただくようになってきた。今日はあまり耳慣れないであろうこの仕事について書きたいと思う。

 

「ブックライター」と聞いても、ピンとこない人も多いと思う。私もこの案件をいただいたときに、初めてこの仕事の存在を知った。わかりやすくいえば、「自分の本を出したいけれど、自分で書くのはちょっと・・」とか「忙しくて自分で書く時間がない」という人(=著者)の代わりに本を書くのだ。つまりゴーストライターのようなもの。

少し違うのは、一般的に「ゴーストライター」というと、一人の著者の専属ライターという捉え方が多いようだが、「ブックライター」はさまざまな著者の本を請け負うということらしい。「影の存在」という点については、どちらも同じといえるだろう。

 

ちなみに「ブックライター」については、上阪徹さんという方が『職業、ブックライター。』(講談社)という本の中でくわしく書いている。上阪さんはこれまで多くの著名人の本を執筆してきたそうで、私もこの仕事を引き受けると決めたとき、大いに参考にさせていただいた本だ。とてもわかりやすく書かれている上、これまで知らなかった「ブックライター」という職業の裏側について知ることができて、すごくおもしろい。興味のある方は、ぜひ手にとってみてほしい。ちなみに上阪さんは「紙の書籍」のブックライターだが、私が書いているのは「電子書籍」だ。

 

ブックライターについて語る前に、私のライター経歴について少しお話しておこう。私が仕事としてライター業に本腰を入れ始めたのは1年前だ。それ以前の3年間も、ブログやいくつかのサイトの記事も書いてきていた。でもどちらかというと趣味に近い感じ。最初はそれでもよかったのだが、サイトによっては1記事数百円というところもあり、「これだけ手間暇かけて書いた記事がたったこれだけ?」と次第にモヤモヤするようになった。

そして「ライターとしての自分の価値を知りたい。そしてもし評価してもらえるなら、ちゃんとそれに見合った報酬を得たい」と思い、(遅ればせながら)1年前に本格的にライターとしての仕事を探し始めたのだ。私はパートの仕事もしているので、時間を意識的につくらないと原稿は書けない。当然引き受けられる案件の数はどうしても限られてくる。せっかくなら自分がおもしろいと感じて、なおかつ報酬ができるだけ高い仕事を引き受けたいというのが本音だ。報酬ってモチベ―ションにも直結するから、すごく大事なところだと思う。

 

今は編集プロダクションと呼ばれる会社から仕事をいただくことがほとんどだ。この1年間で書いたのは、主にお店取材やグルメ、教育関係の記事だ。すべて自分でインタビューをし、それを記事にまとめるというもの。そしてそれに加え、この半年くらいで増えてきたのが、電子書籍のブックライターの仕事というわけだ。

最初にこの仕事の話をいただいたときは、正直引き受けるかどうかかなり迷った。というのも、それまでライターとして書いてきたのは、3,000~4,000字くらいの内容がほとんど。一方で電子書籍は15,000~20,000字位が一般的らしく、私はそれまでそんなに文字数の多い原稿を書いたことがなかったのだ。そもそも本の出版になんて携わったこともないのに、最後まで書き上げられるだろうか?そう思うと自信がなかった(後で知ったのだが、紙の書籍となると10万字くらいが相場らしい・・。それに比べたら15,000字なんてかわいいもんですね(;'∀'))。

でも不安に思う反面、これまでやったことのないものにチャレンジしてみたいという気持ちもあった。この仕事をやり遂げた先に新しい道が開けるのは間違いないし、実績もできる。何より自分の自信につながる。そう思って最後は引き受けることに決めた。

 

ではブックライターは、どうやって本を書くのか?

もちろん、ライターが好き勝手書くわけではない。著者が読者に伝えたいと思っているテーマについて、ライターが本人に取材をするのだ。著者の想いやこれまで積み重ねてきたことをじっくりと聞き、それをライターが本人に代わって1冊の本としてまとめる。

取材の初めの方は、著者自身も読者に伝えたいことが漠然としていることが多い。それを取材の中で少しずつ掘り下げていき、「ことば」にしていくことによって、だんだんとカタチになっていく。著者の中には、取材で私と話をしていく中で、これまで意識していなかった自分自身の想いに初めて気づくという方もいる。

 

これまで私が依頼をいただいたのは、どれもビジネス書や自己啓発本といったジャンルで、著者は会社の経営者さんが多い。私はもともと本が好きだし、自己啓発本やビジネス書もこれまで読んできた。だからそういった内容を、著者本人の口から直接聞けるというのは、なかなか貴重でおもしろい。時には予期せぬ裏話を聞けることもある。本の内容は人それぞれ違うわけだが、私がまったく知らなかったことや、これまでの人生の中でかすりもしなかったような世界について知ることは、シンプルにワクワクするし楽しい。

あくまでもその著者本人の本として出すわけなので、もちろん私の視点で書くことはできない。それに本人の伝えたいことを、どんなふうにどれだけ正確に伝えられるかというのは、いつも頭を悩ますところだ。でもそんな苦労があるだけに、一冊を書き上げたときの達成感や安堵感はかなり大きい。大げさかもしれないけれど、初めて本の原稿を書き終えたときは、「ああ、私にも書けた!一歩前に進めた!」とひとりで感動してしまった。

これまでの半年間で書いた本は4冊。まあ、実際にはまだ1冊も出版されていないのだけど(本が出版されるまでには、いろんな工程があって時間もかかるようだ)。どんなふうに出来上がるのか、早く見てみたい。そしてありがたいことに、その後もいくつか電子書籍の執筆の話をいただいている。つまりこれは、電子書籍を出版したいという人がいま多いのだと思う。

 


もともとライターになろうと思ったのは、旅が好きで、その魅力を少しでも伝えたいと思ったからだ。そしてあわよくばタダで旅をして(文章で)お金までもらいたい、という不純な動機からだった(残念ながら、この企みはいまだ実現できていない)。それが4年後の今、こうして旅ライターとはまったくかけ離れた、思いがけない方向へと進み始めている。

もちろん今でも旅ライターとしての夢は捨てていないのだけど(そんな話があったら、いつでもご相談ください)、誰かの想いをじっくりと聞き、それを1冊の本にまとめる。そしてそれが(紙ではなく電子書籍ではあれど)カタチとして残るというブックライターの仕事にも醍醐味を感じ始めている。

これからも依頼していただけるかどうかはわからないけど、どうせやるなら自分自身の人生をより豊かで実りあるものにできるような仕事がしたい。そしてこの「電子書籍のブックライター」は、それが叶う仕事だと確信している。いろいろな人の考えや人生について深く知り、自分の世界を広げることができる。そして時には勇気や元気をもらい、背中を押してもらうこともある。だからこそ、もし求められるのであれば、これからもぜひ続けていきたい仕事のひとつなのだ。

 

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