以前海外を一年半旅した時、のちの自分の人生に大きな影響を与えたことがふたつありました。
ひとつは世界には様々な考え方や価値観があると知ったこと。
旅先ではいろんな人に出会います。その国に住む人だけでなく、ほかの国からのバックパッカーにも。言葉も宗教も全然ちがうそんな人たちと出会うことで、今まで知らなかった世界がたくさんあることを知りました。
これまで自分がいた世界は、日本の中で作り上げられたもの。その価値観が全てだと思っていたけど実は違っていたのです。そして日本の価値観だけにがんじがらめになるのはもったいないと思いました。
いろんな考え方に触れて「自分はこう思うけど、そういう価値観もあるんだね。」と受け入れられるだけで、自分自身もずいぶん心が軽くなるし、世界も広がる気がします。
そしてもうひとつ。自分の視野が広がるのと同時に気づいたこと。それは日本のよさでした。
海外をずっと旅していると、日本では当たり前すぎて意識しなかったことにハッとさせられることがたくさんあります。それに海外の人の方が日本についてよく知っていて、相手から質問されるとこっちが答えられないということもけっこう多いのです。そしてそれが逆に、私が日本について振り返るきっかけになったんだと思います。
たとえばそれは日本の歴史や伝統についてだけではありません。私たちのごく日常にある言葉や食、文化などについてもです。身近すぎるからこそあらためて考える必要もなかった些細なことの数々。こういうことって、案外外からの視点が入りこむことで初めて気づくものなのかもしれません。
そしてこれはじつは日本の中でも同じことがいえるんじゃないかと最近思うのです。
つまり今まで生まれ育ってきた場所をいったん離れることで「これまでいかに小さな世界にいたかに気づくことができる」ということ。
そして一歩外の世界に出ることによって、逆に「これまでいた場所の気づかなかったよさを知る」ということです。
私自身は山形で高校を卒業したあと、関東で学生生活を送るようになって初めて知ったことがたくさんありました。学校にはそれこそ、いろんな所から学生が集まっていたし、東京近郊から通う学生も多い。山形を離れて初めて、これまで自分が知っていた世界とは違う価値観があることを知ったような気がします。
たとえば電車や車に対する考え方ひとつにしても、都市部と地方ではまるで違います。電車が毎日の足である都市部では、車がなくても何とかなる。でも地方ではそうはいきません。場合によっては一人一台必要なくらい、車は生活に欠かせないものです。こんなこと、山形に住んでいた時には考えもしなかったことでした。
また地元を離れることによって山形のよさも知ることができたと思っています。田舎だし、不便な場所かもしれない。でも、じっと寒さや地吹雪に耐えたあとに迎える春の喜びを私たちは知っています。そして四季折々の自然の美しさも。
それに山形でふだん何気なく食べていたごはんが、実はとてもおいしかったのだ!というのもこちらに来て初めて知ったことでした。どれもすべて、外の世界を知らなければ分からなかったこと。
これは逆のこともいえるでしょう。都会で生まれ育った人が田舎暮らしを経験して初めて気づくことも多いかもしれません。
たとえば地方の小さな町では概して人間関係が密だし、お互いがお互いを知りすぎていて煩わしい部分もあると思います。でも半面、その付きあいゆえに助けられることだってあるでしょう。
田舎には田舎の価値観、都会には都会の価値観があります。どちらがよくてどちらが劣っているわけでもない。両方ともいい面も悪い面も隣り合わせなんだと思います。
今はもちろん、たくさんの情報をネットで知ることができる時代です。でも何かを「知識」として知ることと、自分の「実感」として知るのとでは大きな違いがあります。今いる小さな世界から一歩踏み出すことで手に入れられるものは計り知れない。
もちろん自分が慣れ親しんできた土地でずっと暮らし、充実した人生を送っている人もたくさんいます。
でももし外の世界を知りたい気持ちや、そのチャンスがあるのであれば、ぜひその一歩を踏み出してみてください。その先には、きっとこれまでとは違う世界が広がっているはずです。
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