自由旅クリエイター/ライター にじねこMiiのブログ

なりゆきまかせの自由旅が好きなライター。元バックパッカーで今は2児の母。人生を今よりちょっとだけ楽しくしてくれるモノが好き。Web媒体で旅や地域の魅力を発信したり、取材記事を書いてます。お仕事も随時募集中♪

遭難は誰にでもあり得る⁈低山で救助要請した話

先日、夫と低山を登っていたら、ケガをして道に迷っている人に遭遇。人生初の救助要請をしました。低山の遭難はいつ誰にでも起こり得ることだと感じたので、ここで詳細をシェアしたいと思います。

場所は東京・奥多摩のとある山。高さ900メートル程で、ケーブルカーもあり、気軽にハイキングを楽しめる山として人気があります。

 

私たちはこの日、本当は別の山に登るつもりでした。でも登山口の駐車場が閉鎖されていたため、急きょ、この山に登ることになったのです。

以前も来たことがあるので、この日はケーブルカーには乗らず、のんびりとハイキング気分で上まで登っていきました。快晴の空の下、ベンチで持参したランチを食べ、「じゃあ滝でも見てから帰ろうか」ということに。

その滝まで行くには、急な階段を下りて行かなければなりません。「帰りはここを上るのに1時間以上かかりそうだね」なんて言いながらようやく滝に到着しました。

 

水量はそんなに多くなく、思ったよりこぢんまりとした滝でした。しばらく眺めて「さあ帰ろう」と動き始めたその時、上の方から声がしたんです。

「え?」と見上げると、目の前の崖の上のところに2人連れの女性がいて「ここから下りられますかーー??」と聞いてくる。私たちから見たら、そこは全然下りられるような場所じゃないんですよ。あと2、3歩踏み出したら落ちちゃうんじゃないかと、下から見ていてハラハラしました。

聞けば1人がケガをして骨折してるようだと言います。そして携帯の電波も繋がらない。私たちは「そこにいてくださいねー!」と2人に声をかけ、山を下りて救助要請しにいくことになりました(後日、詳しい人から聞いた話では、本来なら1人はその場所に残るべきだったそうです)。

あの急な階段を一気に上り(この時点で、私はすでに夫には追いつけなかったんですけどね)、途中で会った他の登山者に携帯が繋がるか聞いてみるも、やはり繋がらず。

結局少し山を下って売店まで行き、救助要請をしてもらいました。10分ほどで地元の消防団の人たちが駆けつけてくれたので、私たちはそのまま下山。ビックリしたことにケーブルカーの乗り口には、全部で10台くらいの消防車やパトカーが駆けつけていました。レスキューらしい人がいたので聞いてみると、これから救助に向かうとのこと。

女性2人がいた場所は、本来のルートから外れてはいたものの、はっきりと特定できる場所。それに全然山奥ではないので、これならすぐに助けてもらえそうだなと思い、私たちはそのまま家に帰りました。

 

その後もどうなったのか気になっていたところ、次の日、本人から夫にお礼の電話がかかってきました。話によると、やはりもう1人は肩を骨折していたとのこと。

前日、私たちが救助要請をしたのは14:30頃なのですが、実際に下山できたのは21:00位だったそうです。レスキューの人が崖の上から吊り下げて救助したらしい。その後、さらにあの急な階段をケガ人を背負って上ったのかと思うと、もう想像を絶します。救助要請した時点では、正直私と夫はそこまで大ごとになるとは思っていなかったので、そこにかける人数と時間と労力を目の当たりにして、山の遭難救助ってほんとに大変なことなんだなと思いました。

 

そして今回思いがけずこういう場面に遭遇して思ったのは、低山の遭難はいつ誰にでもあり得ることなんだということ。

ある程度高い山であれば、それに合わせて慎重に装備を考えるものです。でもケーブルカーもあり、ハイキング感覚で行けるとなると、心のハードルも低くなり、つい軽い気持ちで行ってしまいがちなんですよね。

実際、私たちもわりと軽装でした。防寒着は持っていたものの、この日東京はかなり冷え込み、山でランチを食べていた昼間でさえ、寒さで手がかじかんだほど。もし彼女たちと同じように道に迷い、携帯が繋がらず、誰にも助けを求められないまま、山で一晩明かすことになったら...と考えるとやはりゾッとします。

ハイキング程度のつもりでも防寒着やレインウェア、ちょっとした非常食や多めの水など、いざという時に身を守るための最低限の装備は必要だな、と思いました。

 

山の遭難で一番多いのは「道迷い」です。

実は私も以前、この山で迷いかけたことがありました。登山途中、いかにも歩きやすそうな緩やかに下っていく道らしきものがあり、疑いもせずに進んでいったのです。

でも途中で「何かヘンだ」と思ってスマホで確認したところ、ルートを外れて下っていることが分かりました。その時は来た道を引き返して事なきを得たのですが、1人登山でしたし、ヒヤッとしたのを覚えています。

山で迷ったと思ったら、まずは道を引き返すのが鉄則といわれています。人の心理として、どうしても下りたくなってしまうけれど、道なき道を下れば沢や崖に行き着き、身動きがとれなくなったり、滑落の原因になってしまうといわれます。それに闇雲に動けば、体力を消耗してしまいます。

今回の女性2人がどんな状況でルートを外れ、あの場所に入り込んでしまったのかは分かりません。1人が途中で転んでケガをして、急いで下山しなければと焦り、道に迷ってしまったのか?あるいは先に道に迷い、焦っているうちに転んでケガをしてしまったのか?

この一件で、低山の遭難って知らず知らずのうちにしてしまうものなのかもしれない、と思いました。女性2人も「遭難している」という感覚は途中までなかったと思います。おそらく道に迷ったり、転んでケガしたりといくつかの出来事が重なって焦りが生じ、さらに身動きがとれなくなり結果として「遭難」してしまったのかな?というのが率直な印象です。

そしてこういうことは、きっと他の誰にでも起こり得ることなのだろう。だからこそ低山をナメちゃいけないんだな...と肝に銘じた出来事でした。