以前ブログで、アラスカで動物写真家をしていた星野道夫さんの著書『旅をする木』の中の「ルース氷河」というエッセイを紹介しました。
星野さんが大学時代の友人たちと一緒に、11人の子どもたちを連れてアラスカ山脈のルース氷河で1週間を過ごす話です。
じつはあの話には続きがあるのです。
私が初めてこの本を読んだのは5〜6年前なのですが、この時ルース氷河でのキャンプの話がすごく気になって調べてみたのです。
なにしろ “私が行きたい!” と思うくらい、心をわしづかみにされた内容でしたから。
すると、これは「オーロラクラブ」という団体が1992年から毎年行なっていた、アラスカでのキャンプ活動の話だったのです。
提唱者は星野さんで、アラスカの厳冬期に子どもたちや青少年を連れてキャンプを催行してきたのでした。
参加者の子どもたちは、一週間の滞在の中で、冬のアラスカの氷河や原野でのキャンプ、あるいは氷河のスキートレッキングを体験したり、-30℃の中オーロラをみたりするのです。
ふだんあらゆる情報やモノに囲まれ、守られた生活をしている私たちが、絶対にできないような体験をする子どもたち。
この出来事が彼らの人生に何の影響も与えないということがあるでしょうか?
悲しいことに、オーロラクラブがスタートした4年後に星野さんは亡くなってしまったのですが、その遺志は仲間によって受け継がれ、ルース氷河キャンプはずっと続けられてきていたのです。
私はこのキャンプが本の中だけのものではなく実際に今も続けられているという事実にとても驚き、わが子をこのツアーに参加させてみたらどうだろうか・・?などと本気で考えたものでした。
残念ながらその頃、ウチの子どもたちはまだルース氷河に行けるほどは大きくなかったのですが・・。
そして数年を経て、この前私のブログでたまたま星野さんの話をとりあげたあと、気になって再度オーロラクラブのホームページをのぞいてみたのです。
しかし、そこには
"2017年のアラスカキャンプ催行見送り”
との、とても残念なお知らせが・・。
この告知がされたのがおととし2016年11月の日付になっていますから、2017年に引き続き、今年の2018年キャンプもそのまま見送りになったものと思われます。
見送りの理由としては
1、アラスカ全体、あるいは主目的地であるルース氷河の状況が急激に変わりはじめていること。
2、(この告知がされた2016年が)オーロラクラブの創設者である星野道夫さんの没後20年にあたり、アラスカキャンプそのものもちょうど20回目を迎えたこと。
・・・などが挙げられるそうです。
オーロラクラブ自体は今も存続しているようなのですが..。
ただ、星野さんご自身がすでにいらっしゃらない中、それを受け継いだ方たちだけで20年もキャンプを続けてくることはきっと並大抵のご苦労ではなかったと思います。
ホームページでは、急激な円安の影響、現地の飛行機代や山小屋代、ガイド代の大幅な値上がりなど資金的なことについても触れられていました。
こんなに社会的に意義のある活動が、存続中止を余儀なくされてしまうのは本当に残念なことです。
またいつか、この活動が再開されることを心から願わずにはいられません。
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