ー年に一度開かれる会の司会を頼まれるようになって、今年で7年目になる。
私はもともと司会者なんて縁がなく、全くのド素人だ。それなのになぜか上司に頼まれ、毎年司会をやることになってしまった。この会にはご年配のえらい方たちも出席するので、いつも緊張して前の日はなかなか寝られない。
それがきのう、ようやく無事に終わった。
会場となるホテルは私の元職場で、私はそこでウェディングプランナーをやっていた。出産を機に辞めてからずいぶんたつけど、今でもまだ懐かしい顔ぶれが何人も残っている。
きのうの会で会場のキャプテンを担当したSさんもその1人。キャプテンというのは宴席の場をとりしきり、サービススタッフを束ねる役目だ。この会では合間にコースの食事もはさむので、Sさんはお客さまのスピーチの準備や食事の進み具合など、全体を見ながら若いスタッフに指示を出さないといけない。ここ何年かはSさんが会のキャプテンを担当している。
以前の私は恥ずかしながら、自分の司会のことしか頭になかった。(何しろ余裕もなかったしね。)「失敗しないようにキチンと会を進めないと...!」ということだけを考えていた。
でも数年前、Sさんに声をかけないまま、会の後半部分をスタートさせてしまったことがあった。それは主催者側である私の上司の「Miiさん、スタートして。」という指示があってのことだったのだが、サービススタッフはちょうどお客さまに料理を出している真っ最中。まさにバッドタイミングで、Sさんは慌ててマイクや演台を用意することになったのだ。
そしてそのあとSさんから「Miiさん、始めるときは一声かけてくださいよ!」とはっきり言われたのだった。プロの司会者さんにとっては、もしかしてこれは当たり前のことなのかもしれないけど、私はSさんの言葉で初めて「司会はただ司会をやればいいわけじゃない」ということに気づいた出来事だった。
それ以降は必ずSさんとその場で確認をとったり、情報を共有しながら会を進めるようになったし、会場全体の状況を常に気にするようにもなった。
主催者側である私の上司は、タイムスケジュールを念頭に私に声をかけてくる。でも一方で、「現場のサービススタッフだからこその視点」というのもあるのだ。
たとえばこんな場面。
時間の都合上、食事のデザートを待たずに会の後半がスタート
↓
誰かのスピーチが始まる
↓
お客さまは「スピーチを聞かなきゃ。」と思う
↓
そのタイミングで目の前にデザートを出されてもなかなか食べにくい
↓
それがアイス系だとなおさら悲しい結果
↓
多少時間が押したとしても、デザートまで出してから後半をスタートさせた方がお客さまにとってはいいのでは?
ありがたいことに、最近は上司も進行に関してわりとこちらに任せてくれるので、時間の押し具合や会場の状況をみながらSさんと調整することも多い。
いつも個人プレーヤーの私がいうのもなんだけど、結局一人でできることって限られるのだ。私一人が会をスムーズに進めたいと思ったところで、しょせん空回りするだけ。
会場にいるスタッフはみんな、お客さまによい時間を過ごし満足して帰ってほしいと思っている。そしてそのためにはお互いが情報を共有し、連携してこそ成り立つものなんだとあらためて思う。
さて今年も無事に会を終えることができた。自分にも「お疲れさま!」ってことで、帰りはひとりビールで静かに打ち上げをして帰ったのでした♪
読んでいただきありがとうございます。
よかったらほかの記事ものぞいてみてくださいね。